広告とセレンディピティ
マンションを何部屋買えばいいのだろう
昨年の秋頃、春に控えた息子の幼稚園入学に伴い心機一転引っ越しをするため、マンション探しをはじめた。とはいえいまやネットの時代。不動産屋さんに行く前に、希望の間取りや環境とそれに合う土地の相場を調べたり、実際に物件を下調べするためインターネットで検索するのが一般的な消費者の行動パターンだ。
2カ月くらいかけて、ようやく希望の物件が決まったのだが、それからというもの。あらゆるサイトにおいて新築マンションの物件広告がついて回るのである。
完全に「新築マンションを購入しそうなやつ」というターゲットにロックオンされている僕は、もはやローンを組んで死ぬほど働かなければならない状態にも関わらず、何が悲しくて《目黒駅前タワーマンション 3LDK 9500万》みたいなキャッチコピーに心踊らされなければならないのだ。しかも、「森に住む」をテーマにした緑豊かな敷地計画でも注目される物件です、とか言われたら多少心揺らぐじゃないか。
Candy Crashは肉食系男子?
最近強く思うのは、広告に大切なのは偶然性(セレンディピティ)とタイミングだということだ。
例えば、渋谷に遊びにいったときに屋外広告の看板でたまたまCandy Crashの看板を見かけたとする。後日、Facebookを見ていたらまたCandy Crashの広告が出てきて、自宅に帰ってテレビを見ていたら今度はCMで流れた。
というように違う場所や時間、タイミングで同じ人や物と三回以上出会うと、人間というのは偶然性を感じてしまう生き物だという。
candy crashの場合はもはや広告を打ちまくっている感があるし、誰もが知っているのでピンと来ないかもしれないが、これが例えば新しいお菓子とか化粧品とかだった場合には、なんとなく運命を感じてしまうものかもしれない。
つまり、上記の例が”運命の出会い”だとすると、ターゲティング広告のように何度も出てきてしまうとそれは度を超えた”ストーカー”になってしまう。とはいえ露出を控え過ぎてセレンディピティが演出できないと、ただの”押しの弱い草食男子”になってしまう。押し引きが難しくタイミングが大事なのは、恋愛と同じだろう。
これからの広告の話をしよう。
アドテクノロジーの進歩により、広告配信先の選定が自動化されたり、動画を活用してよりリッチな広告が配信できるようになってきた。しかし、そうしたテクノロジーに頼りっきりで人間そのものに向き合わなくなるのはとても悲しい。出会い系サイトのマッチングに頼るあまり、自分自身を磨くことを忘れていては一生運命の人に出会うことは出来ない。
つまりテクノロジーが進歩すればするほど、人間的な能力に価値が生まれてくる。なぜならコンピューターでも出来るようなことしか出来ない人間はいらないからだ。
世間の流行や経済の動き、日々のちょっとした変化に気づけるようなアンテナ力やマーケティング能力、そして人と対話し、気持ちを理解することが出来るコミュニケーション能力。今後も広告業界に広く身を置いていくのであれば、これらの当たり前な人間力を磨いていくことがより重要になってくる気がしている。
そんなことを教えてくれた、目黒区のタワーマンションに感謝して、いつか本当に住めるくらい稼ぐために頑張ろう。メリークリスマス。
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