ヒカキンよりタモリ

何代目ブラザーズでもよいけれど

流行語大賞が「ダメよ~ダメダメ」に決まり、レコード大賞に“三代目J Soul Brothes”が決まり、特に意外性のない総括が今年も続々とされてきている。せっかく12までいったのにまた1から始まるなんてもったいないね、とふと嫁がつぶやいた。何言ってんだ、もし一年という概念がなかったら、区切り目がわからず延々と走り続ける毎日に誰もやる気が起きないだろうし、このダラダラとした前置きのように終わり方がわからなくなるだろう。


ネットが流行を創るという幻想

THE MANZAIで優勝した博多華丸・大吉が一回戦で披露したネタは、“YouTuberになりたい”だった。結果としと決勝に進み、決勝戦のネタでも掴みに使って爆笑をとっていた。YouTuberというコトバがキャズムを越えて認知されている証拠である。

ネットの流行をテレビで観て、流行を認知するという矛盾。これを我々は知らぬうちに違和感なく受け入れているし、テレビのバラエティ番組を一巡する人気者になることが、いわゆる「売れている」状態であることを信じて疑わない。


ヒカキンがテレビに引っ張りだこになったとき、あぁヒカキン売れてるな、と思う。妖怪ウォッチが朝のワイドショーで紹介されたりMステに出演することで、あぁこれ流行ってるな。と実感する。流行を感知するきっかけは今のところまだまだ全てテレビなのである。


タモリが広げたのは額ではなくテレビの懐

2014年のテレビで最も印象に残っているものと言えば、冬季五輪でもW杯でもなく、3月のいいとも最終回である。往年のお笑いスターたちが同じステージに上がっている様は、理屈抜きに興奮を覚えた。

閉園する動物園に行って、サルとかシマウマとかシロクマとかを見てたらいきなりライオンが現れてそこにゾウとキリンも登場してしまいにはペンギンショーも始まってしまったようなオールスター感。

えっいいの?いいの?大丈夫なの?ライオンとシマウマ共演しちゃっていいの?しかし隣にいるラクダはそんなこと全然気にしてない。いつも通り草を食べているだけ。タモリの存在はそんなラクダのようなものだ。特に何もしないけど、あせりもしない。結果的にどこからかキリンがやってきてスマートに場をまとめてなんとかなるのだ。


笑っていいともを観たあと、モノレールに乗って多摩動物園に行きたくなった。


ダウンタウンの成し遂げた偉業

そんな風にしてタモリが広げたテレビの懐を使ってエンターテイメントに昇華させたのが、ダウンタウンである。

年末に放送されたHEY!HEY!HEY20周年スペシャルの出演者が、今年を彩る出演者ではなく、90年代のJPOPを彩ったスター達と、ダウンタウンにゆかりの深いアーティストのみで固められており、他の音楽番組とは一線を画していた。

小室哲哉、TRF、槇原敬之、鈴木あみ、西川貴教、Kiroro、河村隆一…etc

それぞれが紆余曲折ありながら、決して順風満帆とはいえない音楽人生を歩んできたようなアーティストたち。彼らを何の気負いもせずに受け入れていつも通りいじってつっこむダウンタウンの懐の広さ。番組のラストで、出演者全員で歌ったH jungle with Tの「WOW WAR TONIGHT」

笑っていいともで観た動物園のオールスターショーとはまた違う、もう少し泥臭さと懐かしさの入り混じった感動を覚えた。一見の価値ありなのでぜひご覧あれ。



吉高由里子の成長に投資するNHKのベンチャースピリッツ

日本が誇る年末のエンターテイメントとして、紅白歌合戦を忘れてはならない。


出演者は豪華なのだが、綾瀬はるかといい、吉高由里子といい、司会者を挑戦枠として捉えているせいで、全体的に緊張感が抜けず、タモリやダウンタウンが醸し出すテレビの懐の広さを感じることが出来ないのが残念だ。しかし、司会を吉高由里子に任せようというNHKは懐が広いし、ベンチャースピリッツに溢れている。

個人的に、紅白歌合戦に何かで参加したい、というささやかな夢を持っているのはここだけの話だ。

出演者は無理としても、企画なのかヒット商品なのか何かで仕事を通じて縁が出来れば関わることは出来る気がしている。


今自分がやっている仕事はひとことで表すには難しく、特にネットを使ったことのない世代にはいまいち伝わりにくい。その点、紅白歌合戦というのは世代を超えたわかりやすさと親しみがある。田舎のばあちゃんが生きているうちに実現して、安心させてあげたいものである。


それではみなさん、良いお年を。


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