ふつうの会社、いい会社。

「ふつうの会社ならこうだよね」

「いい会社に入りなさい」


一度はどこかで聞いたことあるようなセリフだが、僕はこの言葉を聞くたびにいつも、とてつもなく違和感を感じる。


ふつうの会社ってなんだろう?
いい会社ってなんだろう?


人気就職ランキング上位の会社?

働きがいランキング上位の会社?

CMが流れていて親でも知ってる会社?

業績が右肩上がりで急成長している会社?


答えは、「どれも正解」だと思う。


なぜなら、このコトバの前には、あるコトバが隠されているんじゃないかと思うからだ。 


「(自分にとって)いい会社」


これは恋愛や結婚におけるパートナー探しにおいても一緒だと思っていて、誰もがうらやむような美しい女性(かっこいい男性)がいたとしても「(自分にとって)いい相手」を見つけられるかどうかのほうが大事な気がする。


自分にとってベストな相手というのはパートナーにしても会社にしても人それぞれ異なるからだ。 


だから入社面接や会社の見極めはすごく重要なことで、自分をよく知らなければならないし、会社のこともよく知らなければならない。 そして、その努力義務は双方にあると思う。


※パートナー探しとひとつだけ異なる点があるとすれば、 自分にとっていい相手が見つからなけば会社は「作る」ことも出来る。

 

誰にとっての「いい会社」を目指すべきなのか

一方、会社の視点で考えてみると、軸となるようなカルチャーや理念がわかりやすいと、基準を持たずに会社を求めている人たちがふるいに落とされてマッチング度合いが高まる可能性が高い。


重要なのは、他社と比較して給与や制度等の表面的な部分で万人受けする「いい会社」を装うのではなく、今の会社規模や経営方針、事業内容に応じて今の状態の会社を、「(自分にとって)いい会社」だ、と思ってくれる人を見つけることなんじゃないか。


※それが簡単ではないから人事は皆苦労しているわけなんだけど、、


要は、目的を見失ってはいけないというか、「いい会社」アピールを強めて優秀な人が応募してくる人気企業になることが目的なんじゃなくて、自社においてエンゲージメント高く、長く活躍してくれる社員を採用できるようになることが最重要であり、会社として最も適切なブランディングだなと改めて思うわけです。



「ふつうの会社」はふつうじゃない

また、自分の育ってきた家庭環境や地元によって常識が異なるように、「ふつうの会社」かどうかも自分のモノサシだけで測ってはいけないと思う。


あくまでも自分の経験してきた中からはじき出された基準における「ふつう」を全く違う人生を歩んできた他者に押しつけるのは迷惑以外のなにものでもない。


とはいえ、新卒で入社した会社に長くいすぎると自分のいる会社が「ふつうの会社」であるという思いこみが強くなりすぎるというリスクがある。


ぼく自身、「(自分にとって)いい会社」だと思って今の会社に入社して、幸いなことに丸10年働かせてもらっているが、同時に危機感も強くもっており、特にここ数年は意識して客観的に会社を見つめるようにしている。 そして、今の会社が誰にとってもいい会社であるともふつうの会社であるとも決して思っていない。


だからこそ会社は新しい社員を積極的に採用して新陳代謝していく必要がある。


彼らは「(彼らにとって)いい会社」だと思って入社してきてくれているはずではあるが、他の会社の基準を知っている分、「ふつうの会社、いい会社」の共通項を知っている可能性が高い。 会社の軸は失わず、この共通項が不足しているところは補っていくことも会社にとって同時に必要なことだと思う。


こうして考えてみると、「長く存続し、社員が満足に働きづけられる会社」というのは
本当に努力していて、経営と文化形成とブランディング、採用が密接にリンクしてうまくいっている会社なんだろうと思う。


そうした理想型をイメージしながらも、現実とのギャップを埋めていく作業は口でいうほど簡単なことではないことも人事や広報をやってみて日々痛感しているところだ。



これからも幸せにはたらくために

「自分にとっていい会社」だと心から思える会社に入れて、長く勤められたならそれは最も素晴らしくて幸せなことだと思う。


もちろん、そのためには努力と我慢も少なからず必要だし、ときには自ら「自分にとっていい会社」に変えていくことも必要だ。


ただし「自分にとっていい会社」なんだと思い込みながら、自分をだまして働き続けることは自分にとっても会社にとっても良くない。晩年離婚を告げられ路頭に迷う結末を迎えるくらいなら、早めに決断したほうがいい。


そのときは決してネガティブに捉えず、自分か会社どちらかかが大きく変化したということなのかもしれない、とポジティブに捉えたいものですね。 



あなたにとって「いい会社」とはどんな会社ですか?


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